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日本酒を選ぶ目安
「日本酒」は、”米”、”
”、”水(自然水)”というとてもシンプルな原料から造られます。
しかしながら、”長期低温による平行複発酵”という、世界の酒類の中で最も高度な醸造技術を必要とします(醸造期間の長いものは、60日以上かかる)。
さらに、”手造り醸造の酒蔵(木造)”の場合、”蔵の個性”も反映されてきます(古くは、”蔵付き−酒蔵固有−の自生酵母”を醸造に利用していた)。
又、
菌や酵母が生成する成分について、今なお全てを把握出来てません(未確認の有効成分がある)。
「日本酒」は、とても”奥の深い”お酒です!
(
1
)
原料米(酒米)
・在来品種、又は、品種改良が進んでいない在来品種に近い酒米品種がおすすめ(下記参照)!
(放射線などを使用して突然変異を起こしてない酒米品種)
・無農薬栽培なら、なお良い!
山田錦 亀の尾 (在来品種)
五百万石 雄町 (在来品種)
山田穂 強力 (在来品種)
たかね錦 神力 (在来品種)
長生米 古代米(在来品種)−赤米/黒米/紫米
など
(
参考
)
在来品種又は在来品種に近い(古い)酒米品種から造った日本酒は、"味に深みがある"ものが多い。
長期熟成向き。
(
2
)
精米歩合
”原料米”の中心部分の使用割合(表層は削り取る)。
小さくなるほど、雑味が少なくなる(スッキリする)傾向がある(価格も上がる)が、
”米”本来の旨みも少なくなる。
「55%」前後がいいかも−
(
3
)
蒸した米に
菌(黄
菌)を繁殖させたもの。
糖化酵素(米のデンプン質をブドウ糖に分解する)をはじめ各種酵素や各種の成分を生成する。
”手造り”では
蓋や
箱を使用し、約48時間かけて出来上がる。
「一
、二
、三造り」といい、
の出来の良し悪し(糖化力の強さ)が酒造りに大きく影響する。
”手造り
”がおすすめ。
(
注意
)
を使わず糖化液を使った酒類(日本酒に限らない)も出回っている。
(
4
)
(酒母)
、蒸米、水を仕込み、酵母を活性化させ増殖させたもの。醪のもと(
)になる。
古くは、蔵付自生酵母を利用していたが(自然発酵)、純粋培養酵母を添加するのが一般的。
仕込み方法により、”生
系酒母”と”速醸系酒母”に分類される。
(酒母)に対し、
、蒸米、水を3回に分けて仕込むと(3段仕込み)、醪になる。
・生
系酒母(山廃
、生
)
自然の法則に従って硝酸還元菌や乳酸菌などの微生物(多様種)を順序正しく遷移させ、
それらの菌が生成する”亜硝酸”や”乳酸”によって雑菌の繁殖を抑え淘汰し、
優良酵母のみを増殖させる日本酒の伝統的な醸造技術(人工乳酸無添加)。
高度な職人技を必要とし、速醸
に比べ2倍以上(3倍)の日数を必要とする。
醸造が難しく手間暇がかかるため、少数の酒蔵でしか行われていない。
コクと深み(重み)のある酒になる。出来の良いものは、癖が無い。
(
参考
)
菌や硝酸還元菌、乳酸菌、酵母など自然界の微生物は、実に多くの成分を生成
する。それらの成分は人に有効であるが、未だ確認されてない成分も多々あり、
未知の可能性を秘めている。
・速醸系酒母(速醸
、その他)
人工的(化学的)に生成した乳酸を添加して雑菌を淘汰し、酵母のみを増殖させる。
硝酸還元菌や乳酸菌の活動も阻止するため(亜硝酸、乳酸、その他の成分が不生成)、
淡白な酒になる。仕込み日数も短縮できる。淡麗な酒を造りやすい。
(
5
)
酵母
アルコールは、”酵母”という微生物によって生成される。
日本酒の醪の中では、
中の各種酵素群による蒸米中のデンプンのブドウ糖への分解反応
と、清酒酵母によるブドウ糖からのアルコール生成が並行して進行する(並行複発酵)。
また、酵母は醪中で様々な有機酸や香気成分も生成する。
・蔵付自生酵母 : 酒蔵に住み付き自生している酵母(自然界の多様種の酵母)。
古来はこの酵母を醸造に利用していた(自然発酵)。
多様種の酵母が連係して活動するため、味わい深い酒になる。
・協会酵母 : 現在広く使用されている清酒酵母(下記は自然界の単一種の酵母)。
全国の酒造場の清酒醪から単離され、純粋培養されている。
単一種なので、酵母の特性を酒に反映させやすい。
6号
:
穏やかな香り、淡麗な酒質に適す。
7号
:
華やかな香り、協会6号より酸度高め。
9号
:
ほどよい吟醸香、香味の調和が良い。
低温で良く発酵し、低酸度、低アミノ酸度。
10号
:
リンゴ様の吟醸香。低酸性。
9号酵母より醪期間が長くなる。
14号
:
低酸性、カプロン酸エチル(香気成分)がやや多い。
etc.
泡なし酵母 : 醪で高泡を形成しない酵母。上記、協会酵母から分離。やや低酸性。
601号、701号、901号、1001号、1401号など
(
注意
)
近年あらゆる酒類において(日本酒に限らない)、
人工的に突然変異を起こしたり改変した酵母が開発された。
(
*
)
新しく開発された酵母(泡なし酵母)は、長期熟成に向かない場合がある。
(
6
)
製法
−−− 純米系 −−− −−− アル添系 −−−
純米大吟醸 大吟醸
原料米の精米歩合50%以下 原料米の精米歩合50%以下
米、
、水だけを原料とする 醸造アルコ−ルを添加する
長期低温発酵 長期低温発酵
純米吟醸 吟醸
原料米の精米歩合60%以下 原料米の精米歩合60%以下
米、
、水だけを原料とする 醸造アルコ−ルを添加する
長期低温発酵 長期低温発酵
特別純米 特別本醸造
原料米の精米歩合60%以下 原料米の精米歩合60%以下
米、
、水だけを原料とする 醸造アルコ−ルを添加する
低温発酵 低温発酵
純米醸造 本醸造
原料米の精米歩合70%以下 原料米の精米歩合70%以下
米、
、水だけを原料とする 醸造アルコ−ルを添加する
普通醸造
(
*
)
米、
、水だけから造った酒(純米系)は、コクと旨みが比較的強い。
醸造アルコ−ルを添加すると、香りが高まり、軽快感が増す。
・無濾過 −−− 活性炭などを使用しての濾過処理を行わない。
日本酒本来の旨みなどを味わうことができる。
澱が出ることもあり、着色しやすいが、品質には別に問題無い。
・生 −−− 火入れ(熱処理)を行わない。
醪を搾ったままの状態。酵素が作用し、酵母が生きている。
酒質が変化しやすいので、冷温(又は氷温)での管理が必要。
(
*
)
「生貯蔵酒」というのは、”生”の状態で貯蔵し、出荷時に1度火入れする。
・原酒 −−− 醪を搾ってから割水(加水)しない。アルコール度数は20度に近い。
・貯蔵 −−− 日本酒に限らず多くの酒類は、一定期間貯蔵(熟成)して出荷する。
(熟成) 日本酒は、貯蔵熟成により酒質が向上する(長いもので数十年以上)。
”純米系”のほうが、長期熟成に向く。
良い状態での長期貯蔵熟成を続けることにより、
酒
の価値が向上する。
生
系酒母(山廃
、生
)で仕込んだ酒は、2年〜3年以上の熟成により、
飲み頃を迎えるものが多い。
(
参考
)
「
無濾過生原酒
」は、様々な成分を豊富に含有するため、
冷温熟成による大きな酒質の向上(美味しくなる)が期待できる。
(
注意
)
日本酒に限らず人気が高くなると、熟成期間が短くなり味が落ちたと感じることがある。
手間を省き醸造日数を短かくすると、たいがい味が落ちる。
日本酒に限らず風味を調整するため、添加物を使用しているものもある。
(
7
)
成分
[日本酒度] プラスに大きくなるほど、辛口。
[酸度] 大きいほど、酸味が強い。
[アミノ酸度] 大きいほど、旨みが強い。
(
*
)
これらは、日本酒の酒質を表すいくつかの目安に過ぎない。
日本酒度が小さくても、酸度が高ければ、辛く感じる。
又、日本酒度が大きくても(辛口)、辛く感じないものもある。
全体のバランス(実際味わってみること)が大切!
自分自身が好む”本物の味わい”を知る(探す)ことも大切(嗜好も個性の一部)。
若い酒は軽快感があるが、熟成が進むと酸味が柔らかく(丸く)なる/良酒は味わい深くなる。
長期熟成には、ある程度以上の”酸”が必要。
(
8
)
飲み方(飲用温度)
・お酒は、少量づつ適量を、楽しく飲みましょう。
(冠婚葬祭/コミュニケーションに活用)
どんな酒類も適量なら有効であり、健康維持に役立つ。
”全体”としての効果に目を向けず、一部分の効果だけに捕らわれるのは危険。
・いろいろな温度帯で試してみると面白い。
飲用温度を変えると、味わいが変化する。
・いろいろな料理と合わせてみると面白い。”相性”が良いと相乗効果が生まれる。
・自宅(冷暗所、または冷蔵庫)で貯蔵し、熟成による変化を楽しむと面白い。
(日本酒の表示日付は”蔵出し日付”又は”壜詰め日付”であるが、
良い状態で保存すれば、何の問題もない)
−−− サービス温度表現例 −−−
ロック(原酒など)
冷温 − 10℃以下 雪冷え − 5℃
低温 − 15℃近辺 花冷え − 10℃
常温 − 20℃近辺 涼冷え − 15℃
燗 − 30℃以上
日向燗 − 30℃近辺
人肌燗 − 35℃近辺
ぬる燗 − 40℃近辺
上燗 − 45℃近辺
熱燗 − 50℃近辺
飛びきり燗 − 55℃以上
(
参考
)
・空気に接触させることで、酸味が柔らかくなる。
・「原酒」を飲むときは、チェーサー(水)を利用するとよい。
・燗酒には、生
系酒母(山廃
、生
)で仕込んだ熟成酒(2年〜3年以上)が適する。
以上、私見もありますが、参考まで。
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