[清酒酵母] www.tawaraya-saketen.co.jp
清酒醪では、二つの大きな反応、すなわち、中の各種酵素群による蒸米中のデンプンのブドウ糖への分解反応と、清酒酵母によるブドウ糖からのアルコール生成が並行して進行することが知られている(並行複発酵)。また、酵母は醪中で様々な有機酸や香気成分をも生成する。このような清酒酵母に関する研究は、矢部規矩治らにより19世紀後半から始まり、その後、全国の酒造場の清酒醪から多くの優良酵母が単離されるに至った。これらの酵母は、日本醸造協会において純粋培養され、全国の酒造場に配布されてきた。とくに、協会6号、7号、9号酵母は、長期にわたって好評を博し、現在でも多くの酒造場で使用されている。
[全国的によく用いられる清酒酵母]
協会6号 : 穏やかな香り、淡麗な酒質に適す。
協会7号 : 華やかな香り、協会6号より酸度高め。普通酒用としては最も多く使用される。
協会9号 : ほどよい吟醸香、香味の調和が良い。低温で良く発酵し、低酸度、低アミノ酸度。
協会10号 : リンゴ様の吟醸香。低酸性。9号酵母より醪期間が長くなる。
協会14号 : 協会9号の亜種?低酸性、カプロン酸エチルがやや多い。
次段階としての優良酵母の開発は、主に変異剤を用いず、保存株のなかに非常に低い頻度で生じる自然変異株を分離することにより始まったと思われる。この代表例としては、醪で高泡を形成しない「泡なし酵母」の開発があげられる。他にも、アルコール耐性酵母等が開発された。
近年の酵母開発は、酵母菌体内の生合成機能、または、代謝調節機能を目的にそうよう「人工的に改変した突然変異株」の開発が主となっているようである。とくに、代表的なものとして香気成分高生成株の開発があげられる。
<引用・参考文献> 「最新 日本の酒米と酒造り」 編著 前重道雅 小林信也
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